魚病研究
Online ISSN : 1881-7335
Print ISSN : 0388-788X
ISSN-L : 0388-788X
論文
高知県野見湾におけるCryptocaryon irritansのTaqManリアルタイムPCR検出と分子系統解析
今城 雅之森光 一幸助田 将樹梅﨑 拓也門野 真弥合田 暉久保 栄作大嶋 俊一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 51 巻 3 号 p. 103-111

詳細
抄録

 高知県野見湾のC. irritansの分布と動態を,5.8S rRNAのTaqManリアルタイムPCRにより調べた。10月に行った20時間の連続測定では,午前4時に最も高いコピー数が得られた。10月上旬と11月下旬に湾口部の漁場のカンパチ生簀で海産白点病が発生したが,この間,被害のあった生簀近傍では,5.8S rRNA遺伝子の平均コピー数から,4,465~6,590虫体/Lの存在が推定された。また,湾奥部に位置する別の漁場でも同程度のコピー数が11月20日と12月16日に検出され,底泥における 5.8S rRNA遺伝子の検出頻度は同漁場で最も高くなり,シストの分布は潮流の影響を受けていると推測された。18S rRNA-ITS1 領域の分子系統解析から,感染漁場のC. irritansは中国分離株を主とするグループに属しており,カンパチ種苗の輸入に伴う中国南部からの持ち込みが疑われた。

著者関連情報
© 2016 日本魚病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top