養殖ハマチはいわゆる天然ものにくらべて,筋肉・肝臓・幽門垂などの脂肪含有量がいちじるしく多く,酸化脂肪の多い餌料をあたえることにより,栄養障害をおこし成長率が低下し時には斃死することが知られている.また,ハマチの養殖はさいきん年内出荷の供給過剰から,越冬可能な地域で2年養成がさかんになる傾向にある.この2年養成で栄養障害をおこしているハマチは3月の水温上昇期にいたって斃死するものが多く,はなはだしい例ではその数が放養尾数の30%以上におよぶことがある.そこで,地方によっては餌料中に各種の添加剤を入れてハマチにあたえ,栄養障害を予防して成長率の低下をふせぐとともに,春期の斃死を防徐することがおこなわれている.ここでは餌料中にグルクロン酸を添加することにより,これら疾病の予防あるいは成長にどのような影響があるかを研究した。すなわち,グルクロン酸がハマチの増重におよぼす影響について調べると同時に,主要臓器の病理組織学的研究をおこない,さらに肝臓の脂肪酸組成について調べた。その結果,いちおうの結果を得たので取りまとめて報告する.