魚病研究
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サケ科魚類稚魚の内臓真菌症に関する研究―II
アマゴ稚魚の腹腔内より分離された真菌の性状
畑井 喜司雄江草 周三
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1977 年 11 巻 4 号 p. 187-193

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抄録

 1.内臓真菌症を呈するアマゴ稚魚の腹腔内より分離されたGFA 7501株およびGFA 7502株の性状について検討した。2.GFA 7501株はSPARROWおよびDICKの分類体系に従いSaprolegnia属に,またSEYMOURの種の同定基準に従いS.diclinaに同定された。本真菌の初期感染部位は胃の幽門部と推定された。3.GFA 7502株は同定し得ず,一応隔壁を有する未同定糸状真菌と仮称した。本真菌の初期盛染部位は胃の噴門部と推定された。4.組織学的検査の結果,7例中5例がS. diclinaの単一感染症で,2例がS.diclinaと未同定糸状真菌との混合感染症であった。5.各真菌の発育適温はGFA 7501株が15℃, GFA 7502株が10℃であった。 GFA 7501株はpH 3.5で,GFA 7502株はpH 3.0以上で発育がみられた。マラカイトグリーンおよびメチレンブルーの発育阻止濃度はGFA 7501株で0.2 μg/mlおよび100 μg/ml, GFA 7502株で1.6 μg/mlおよび>100 μg/mlであった。

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