魚病研究
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アユのグルギア症に関する研究―III
グルギア症と水温の関係
高橋 誓江草 周三
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1977 年 11 巻 4 号 p. 195-200

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抄録

 アュのグルギア症が水温の影響をうけることは疫学的調査でも明らかであるが,どのように影響をうけるかを明らかにするため,水温の異なる二水系(地下水とびわ湖水)を用いて人工感染による実験を行った。その結果G.plecoglossiの感染は水温に影響なく成立するが,その後のシゾゴニーは大きく影響をうけ,16℃以下であると消化器管の粘膜下組織や筋層にシゾゴニーを停止して位置している。水温が18℃以上になるとシゾゴニーは活発になり, キセノマは肥大しつつ,腹腔内へ移行し,スポロゴニーの開始,宿主反応の出現と“シスト”形成が進行する。しかしこの過程も18℃以下の水温に移すと直ちに停止する。以上のことより,アュのグルギア症は17℃に水温を制御することにより防止することが可能である。

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