1977 年 12 巻 2 号 p. 105-110
1. 支笏湖の天然ヒメマスに発生した水生菌症罹病魚の患部から1種のミズカビが分離され,しかも分離株のすべてがムーンフィッシュに強い寄生性を示した。2. 分離されたミズカビの造卵器は形成までに長期間を有し,しかもまばらにしか形成されず,時に連鎖するのが特徴であった。孔絞は通常みられないが時に不明瞭な孔絞がみられた。卵胞子の内部構造は亜中心性型で,造精枝はdiclinousタイプであった。3. 本種の性状はこれまでに記載された21種のミズカビの性状とは一致せず新種と判断されたことから,本種をSaprolegnia shikotsuensis sp. nov.と呼ぶことを提案した。