魚病研究
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米国において水産養殖に関連して検出された薬剤耐性菌とRプラスミド
斎藤 和久江草 周三新井 俊彦青木 宙
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1977 年 12 巻 2 号 p. 77-86

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抄録

 米国の74ヵ所の養殖場の魚(channel catfish, blue gill, bass, cyprinidae, salmonidae等)の腸管および養殖池水よりサルファ剤(SA),クロラムフェニコール(CM),ストレプトマイシン(SM)およびテトラサイクリン(TC)耐性菌を定量的に分離し,耐性菌株検出率をしらべ,それらの耐性菌の中,耐性が伝達性のRプラスミドによるものの検索をおこなった。1) 魚類の腸管1g当りの細菌数の平均値は3.5×106個で,そのうちSA耐性菌:1.7%, SM耐性菌:1.4%,CM耐性菌:0.31%,およびTC耐性菌:0.95%であった。2) 飼育水1ml当りの細菌数の平均値は4.3×103個で,SA耐性菌:2.8%, SM耐性菌:8.5%, CM耐性菌:3.5%,およびTC耐性菌:3.8%であった。3) 腸管から分離された耐性菌の種類は腸内細菌群が多く,Citrobacter, Enterobacter, Escherichia coli,Hafnia,Klebsiella, Proteusおよび未同定の腸内細菌であり,それ以外はPseudomonas属および未同定桿菌が検出された。4) 飼育水から分離された耐性菌の種類はProteusを除いて同じであった。5) 伝達性薬剤耐性因子(Rプラスミド)は腸管から分離した耐性菌280株中10株(3.6%),飼育水由来の耐性菌252株中4株(1.6%)といずれも低頻度で検出された。6) 検出された伝達性Rプラスミドの耐性マーカーはSA, SM, TCおよびカナマイシン(KM)のいずれか1剤からすべての4剤のものまであった。

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