魚病研究
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病魚から分離されたVibrio属細菌の分類学的研究―I
形態学的,生物学的ならびに生化学的性状による検討
楠田 理一佐古 浩川合 研児
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1979 年 13 巻 3 号 p. 123-137

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抄録

 1. 日本各地の種々の病魚から分離されたVibrio属細菌50株と対照の21株を収集し,形態学的,生物学的ならびに生化学性状を調べるとともに,分類学的な関連性を検討した。2. その結果,病魚由来の供試菌株はほぼ3群に大別された。3. 第I群はV. anguillarumに包括される。さらに,本群は海水由来か汽水由来か淡水由来かなどによって,3つの亜群に分けられた。4. V.anguillarum, V. piscium var.japonicusならびにV.ichthyodermisの3種を同一種とするとの見解には,異論のない結果が得られた。しかし,V. ichthyodermisは低水温期のタイの病原菌との関連性が高いことが問題として残された。5. 第II群は海産魚の潰瘍病の原因菌K-3株を含む群で,V.anguillarumとは明らかに異なる種と考えられるが,腸炎ビブリオとの類縁性は高い。6.第III群は主として冬期にマダイから分離される菌株からなり,低水温期における病原菌と考えられる。7.各群を相互に鑑別するための有効な鑑別法を示した。

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