魚病研究
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キンギョの異物貪食系に関する研究―II
白血球のペルオキシダーゼ反応と食作用について
森 真朗
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1981 年 16 巻 2 号 p. 91-96

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抄録

 魚類の食細胞が感染防御に果たす役割りを明らかにするため,キンギョを供試魚として,まず白血球のペルオキシダーゼ反応を調べ類別し,ついでブドウ球菌と大腸菌に対する食作用を試験管内で検討した。得られた結果は次の通りである。1. キンギョのペルオキシダーゼ陽性白血球の陽性顆粒はο-トリジンを用いたペルオキシダーゼ反応で黄褐色に染まって認められた。核の染色状態は鮮明であった。塗抹標本を未固定で長期間保存した場合でも陽性反応が検出できた。血流中のペルオキシダーゼ陽性白血球数は赤血球5000個あたり平均17個であった。内部臓器では頭腎と体腎に豊富にペルオキシダーゼ陽性細胞が認められた。2. 血液とブドウ球菌,大腸菌浮游液を試験管内で混和し一定時間接触させた後,塗抹標本を作製,ペルオキシダーゼ染色を施した結果,ペルオキシダーゼ陽性白血球,ペルオキシダーゼ陰性大型白血球ペルオキシダーゼ陰性小型白血球の三種類の白血球に細菌が貪食されているのが認められた。ペルオキシダーゼ陽性白血球の食菌像は哺乳類の顆粒球の食菌像に類似していた。

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