魚病研究
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海水によるアユ種苗生産過程の病害研究―II
Vibrio anguillarumの動態
田畑 和男柄多 哲Maria SACRISTAN RUIZ
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1982 年 17 巻 3 号 p. 205-212

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抄録

 アユ種苗生産過程における仔稚魚の減耗原因を明らかにし,またその対策を考えていくための基礎資料を得る目的で,1980,1981年の両年にわたってV.anguillarumの動態を検討した。V.anguillarumは海水飼育当初の11月から後半の2~3月にかけてA型菌が,3月にはC型菌が出現し,淡水飼育期になると再びA型菌に変わる。しかし,海水A型菌と淡水A型菌とは若干生化学的性状に異なる点があることがわかった。シオミズツボワムシと飼育水中とのV.anguillarumの増減には関係があり,新鮮海水とふ化仔魚からはV.anguillarumは検出されないことから,V.anguillarumの供給源はシオミズツボワムシである可能性が確認できた。1981年の大量へい死の原因はV.anguillarumによるもの以外に他の原因も加わっていたものと思われる。投与前にワムシを薬浴することは,有効なビブリオ病予防対策となり得るものと思われる。

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© 日本魚病学会
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