1985 年 20 巻 2-3 号 p. 267-272
最近, 台湾の養殖ウナギにバランキオマイセス症が発生した。この病原真菌の存在は鰓組織の光学顕微鏡観察によって不動胞子と呼ばれビーズ状の構造物が見られたことによって認識された。感染している鰓組織を取り, 電子顕微鏡観察をした。生殖期は無隔菌糸細胞の細胞質の濃縮から始まり, 続いて菌糸細胞内に隔壁が形成された。仕切られた細胞質はそれぞれ所謂不動胞子と同じ球形の遊走子嚢となった。成熟するとこれらの遊走子嚢はお互いから, さらには菌糸から離れ, やがて各遊走子嚢から鞭毛をもった多数の遊走子が放出された。