魚病研究
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筋萎縮を伴うクロアワビ稚貝の疾病の伝染性
中津川 俊雄
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1990 年 25 巻 4 号 p. 207-211

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抄録

 1. 近年,クロアワビの種苗生産および中間育成の過程において,稚貝に高率の斃死を伴う疾病が発生し問題となっているが,その疾病が伝染性のものであるか否かを明らかにするために,クロアワビ健常稚貝を用いて感染試験を行った。2. 感染方法は,220nmのメンブランフィルターにより濾過した罹病アワビの磨砕濾液を用いた浸漬攻撃と自然発症群の飼育水槽からの排水を介した攻撃の2種類とした。3. いずれの方法でも感染,発症,死亡が認められ,衰弱貝および死亡貝の外観症状と病理組織所見は,自然発症貝のそれらに一致し,本疾病はウイルス感染症ではないかと考えられた。4. 本疾病の進行は緩やかであるが,水温が23℃以上に上昇するとその進行は止まることが確かめられた。

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