クロアワビ稚貝の中間育成中に大量死亡を引き起こす本疾病においては, 病状の進行が昇温によって抑制される傾向がみられる。この点を確かめるために, 本疾病に自然罹病し死亡し始めたばかりの飼育群を, 試験群(水温26℃)と対照群(自然水温)の2群に分け, 66日間飼育を行った。その結果, 試験群では昇温後10日以降死亡率が急減し, 20日後以降死亡は非常に少なくなり, 生存率は57%であった。対照群では飼育期間中だらだら死亡し, 生存率は41%であった。したがって, 加温処理は本疾病に対して抑制効果があると判断された。