魚病研究
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クルマエビ血球の貪食作用に及ぼすレクチンのオプソニン効果
近藤 昌和松山 博子矢野 友紀
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1992 年 27 巻 4 号 p. 217-222

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抄録

 1. クルマエビの血液からPercoll連続密度勾配遠心法により, 3種の血球 (透明細胞, 半顆粒細胞, 顆粒細胞) を分離した。2. クルマエビの血球はいずれもグルタルアルデヒド固定ヒツジ赤血球 (SRBCf) を貪食し, 半顆粒細胞と顆粒細胞の貪食率は透明細胞よりも2~3倍高かった。また, 血球の貪食率はSRBCfをクルマエビ血清で処理すると著しく増大した。この血清のオプソニン活性は, 加熱処理 (60℃, 15分間) やEDTA処理によっては影響を受けなかったが, N-アセチルグルコサミン (GlcNAc) によって阻害された。3. クルマエビ血清からSRBCfに結合性を示すレクチンを分離してその特性を調べた結果, 本レクチンは分子量330kDaで, 均一なサブユニット (33kDa) からなること, 血清の凝集価 (210) と同じになるよう希釈したレクチン溶液のオプソニン活性は血清のそれに匹敵すること, およびレクチンのオプソニン活性はGlcNAcによって阻害されることがわかった。これらの実験結果はクルマエビ血清のオプソニン活性はレクチンによるものであることを示している。

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