魚病研究
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餌料中のグルコースがマダイの成長,餌料効率および魚体,肝臓,血液の諸成分におよぼす影響
米 康夫古市 政幸四反田 勝久
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1969 年 3 巻 2 号 p. 1-8

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抄録

 マダイにグルコースを投与した場合,成長,餌料効率および魚体,肝臓,血液の諸成分におよぼす影響を調べ次の結果を得た。(1) 当才魚のマダイにグルコースを35%程度投与した場合,成長度からみて水溶性ビタミンはHALVERらがマスのビタミン要求試験に用いたビタミン量で十分であった。(2) 成長および餌料効率は,グルコース無添加区および10%区が30%区および40%区よりすぐれていた。(3) 餌料中のグルコース量が増すにしたがって,蛋白およびグルコースの消化吸収率は低下した。(4) 餌料中のグルコース量を増すにしたがって,肝臓重量の体重比および肝臓グリコーゲンが増大した。また肝臓脂肪と筋肉グリコーゲンはグルコース40%区のみがきわめて多量であった。(5) 血糖値および血中アセトン体は餌料中のグルコース量が40%で高い値を示したが,血清総コレステロールは逆に低い値を示した。血色素量はグルコース含量に関係なくほぼ一定の値を示した。(6) 本研究の結果,餌料中グルコース量の増加にともなったマダイの成長および餌料効率の低下は,主として炭水化物の利用能の貧弱に原因しており,その改善は十分量の水溶性ビタミン添加では不可能であろうと考察した。

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