魚病研究
Online ISSN : 1881-7335
Print ISSN : 0388-788X
ISSN-L : 0388-788X
魚類を用いたBioautography
その1 : 抗菌物質の魚体内への吸収及び分布の検討
高瀬 善行河野 薫清水 当尚
著者情報
ジャーナル フリー

1969 年 3 巻 2 号 p. 93-95_1

詳細
抄録

 Bioautographyは生物活性物質の生体内に於ける存在をその活性を指標として組織切片上に肉眼で観察し得る方法である。組織切片上で化学物質の存在を知る方法としてはRadioautographyがよく知られているが, この方法は生物活性とは関係なしにその化合物の同位元素で標識された部位を検出する方法である。従って生体内で代謝を受けたり又は不活化されたりしてその生物活性が失われた場合でも同様に標識部位の存在が認められる。これに対しBioautographyはその検出手段として生物活性を指標とするので活性物質の存在のみが検出され得るわけである。この場合抗菌活性を指標とすれば生体切片上に抗菌物質の存在が観察されるわけで, 化学療法剤の研究の一つの方法として役立つものと思われる。我々の研究室では魚病の化学療法剤の研究にこのBioautographyの応用を試みており, その結果についてはいづれ報告する予定であるが, 昨年の水産学会にて二三の応用例を発表したところ他の研究者の方々より御問合せもあったので, ここにその方法につき紹介し, この方面に関心をお持ちの方々の御参考に供し度いと思う次第である。

著者関連情報
© 日本魚病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top