近年, 日本の海産魚養殖では寄生虫症による被害が大きい。 網生け簀養殖では単生類の虫卵の網地への付着が避けられず, 単生類が安易に増殖する。 また, 粘液胞子虫, 微胞子虫, 血管内吸虫といった海産養殖魚の主要な寄生虫の生活環が不明である。 こうした現状では, これらの寄生虫症に対する根本的な対策をたてることは困難であり, 単一の手段による対策は有効ではない。 今後は薬剤などによる駆虫のみでなく, 個々の寄生虫の生物学的な特徴を利用した寄生の軽減, 予防, 早期診断などによって総合的に対策を組み立てる必要がある。