北海道から九州にかけての沿岸10海域で漁獲されたヒラメ(合計416尾)について, 貧血症に関する調査を行った結果, 北海道を除くすべての海域の天然魚にヘモグロビン量の低下, 赤血球数の減少および幼若赤血球の増加等の貧血症状を呈する個体(計130尾)が認められた。これら貧血魚の90%に単生虫 Neoheterobothrium hirame 成虫の寄生あるいは素の寄生痕が認められ, 成虫の寄生数とヘモグロビンの値の間には負の相関関係が認められた。このことから, 天然魚における貧血症の発生には, N.hirame の寄生が大きく関与していると考えられた。