魚病研究
Online ISSN : 1881-7335
Print ISSN : 0388-788X
ISSN-L : 0388-788X
淡水養殖アユ病魚より分離したVibrio anguillarumについて
室賀 清邦江草 周三
著者情報
ジャーナル フリー

1970 年 5 巻 1 号 p. 16-20

詳細
抄録

 最近ROSSらは米国アリゾナの養殖場のニジマスの流行病からVibrio anguillarumを報告した。この報告は淡水域からV.anguillarumを報告した最初のものである。わが国では1957年HOSHINAがニジマスより一種のVibrioを分離しV. piscium var.japonicusとして報告した。以来本種はわが国で繰返えしニジマスより報告されてきた。1961年SMITHは保科の分離菌について検討した結果,その菌はV.anguillarumに同定さるべきことを述べた。先に著者の一人江草は既報のV.anguillarumの比較を試み,その中で淡水魚から分離されて本種と同定さるべき菌にふれたが,わが国では淡水魚からのVibrioをV.anguillarumとして報告した例はまだない。著者らは1968,1969,1970年と3年連続して滋賀県下の養殖アユから,また1969年長野県下の養殖アユからV.anguillarumと同定さるべき病原菌を分離したのでその性状を報告する。なお著者らが本菌を分離した材料は,すべて琵琶湖産の稚アユを種苗に用いた養殖池の病気アユであった。

著者関連情報
© 日本魚病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top