魚病研究
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魚類におけるクロラムフェニコールの吸収および排泄―II
養殖ハマチに経口投与した時の組織内濃度に対する給餌および絶食の影響
畑井 喜司雄松島 又十郎岩橋 義人佐々木 正江草 周三
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1975 年 9 巻 2 号 p. 119-133

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抄録

 1. 養殖ハマチに水産用クロロマイセチン散をCPとして50 mg/kg魚体重を経口的に1回投与し,6時間後に給餌群と絶食群とに分け,経時的に両群のCPの魚体内濃度を測定した。 2. CPの魚体内におけるピークは2~6時間後にみられ,ピーク時におけるCPの値は血液で7.8μg/ml,肝臓で20.6μg/g,腎臓で6.8μg/g,脾臓で18.6μg/g,筋肉で5.0μg/gであった。 3. その後魚体内のCPは徐々に減少し,血液,筋肉で24時間後にはほぼ消失した。肝臓,腎臓,脾臓からのCPの排泄速度を両群について比較し,給餌群の方が速く排泄されることを示した。 4. 肝臓,筋肉の総ニトロ体はCPの結果と逆に給餌群の方が高い値を示したが,これはCPに由来しない。餌由来の津田試薬反応物によるものであることを推察した。 5. 前報と比較した結果,水温の高い環境で試験した方がCPは魚体内から速く排泄されることを推察した。

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