2016 年 16 巻 2 号 p. 29-32
【背景】乳癌は他の臓器癌に比べ若年の罹患比率が高く,予後不良例が少なくない.治療に当たり,妊孕性の問題,早期閉経がもたらす問題,遺伝的素因を考慮した診療計画が必要となる.当科で経験した症例を検討した.【対象と方法】35歳未満の症例を若年性乳癌と定義した. 2000年より2014年10月までの乳癌手術症例2271例のうち,35歳未満の若年者乳癌症例51例(2.24%)を対象とした.35歳以上の乳癌症例と,臨床病理学的因子,10年無病生存率,全生存率を解析,検討した.【結果】35歳未満群でリンパ節転移4個以上例,GradeⅢ症例,Triple negative例が有意に多かった.10年無再発生存率54.8% ,35歳以上が87.4%(p=0.001),10年生存率は80.2% ,35歳以上が93.2%(p=0.03)であり,有意に予後不良であった.【結論】若年性乳癌症例は,進行症例が少なくなく,予後不良であった.予後改善のため,より詳細な病態を把握した薬物療法の計画が必要になる.