日本温暖地における小麦の節間伸長開始期の指標を開発するため,小麦品種「農林 61号」を用いて,主茎について頂端発育ステージ,茎長および偽茎長(地面から最上位展開葉の葉節までの長さ)の関係を解析した.頂端の発育の経時推移は年次と播種日によって異なり,特に播種日による変動が大きかった.しかし,茎の伸長と頂端の発育との間には同調的関係が認められ,節間伸長開始は小花分化期に起こった.また,偽茎長と頂端発育ステージとの間には高い相関が認められ,小花分化期の偽茎長は 5.6 cm であった.これらの密接な関係の結果,節間伸長開始期は偽茎長が約 5 cm のときであった.したがって,日本温暖地の小麦栽培において,偽茎長は節間伸長開始期の指標として有用であると考えられた.