農作業研究
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新たに開発したホーラーがアスパラガスの定植における作業性に及ぼす影響
清水 佑松永 邦則浦上 敦子柘植 一希山口 貴之元木 悟
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2016 年 51 巻 1 号 p. 11-22

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抄録

著者らは,アスパラガスの定植において,セル成型苗からポット苗への鉢上げせずに,セル成型苗を直接圃場に定植する新たなホーラーを開発した.アスパラガスの伏せ込み促成栽培において,そのホーラーを用いてセル成型苗のまま直接圃場に定植する新規法と,慣行のホーラーを用いてポット苗を定植する慣行法とを比較し,定植作業の改善効果とアスパラガスの収量の指標となる株養成量を調査した.その結果,新規法は,慣行法に比べて,初心者,習熟者ともに,アスパラガスの定植作業時間が有意に短縮された.OWAS法を用いた作業姿勢の評価では,AC(アクションカテゴリー)の発生回数および発生割合の結果から,習熟者においては,新規法が慣行法に比べてアスパラガスの定植作業姿勢を改善できた.一方,初心者においては,ACの発生割合で定植作業姿勢の改善効果が見られなかったものの,ACの発生回数では改善効果が見られた.アスパラガスの定植作業時間が短縮されたことを考慮すると,初心者においても,新規法が慣行法に比べて作業負担は低いものと考えられる.また,株養成量では,新規法は,慣行法に比べて,育苗日数が短く,小さなセル成型苗を定植したにも関わらず,新規法と慣行法との間に有意差がなかったことから,ポット苗を定植する慣行法と同等の収量が得られるものと考えられた.

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© 2016 日本農作業学会
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