農作業研究
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高冷地におけるソルガムのすき込み時期の違いが後作のキャベツの生育・収量に及ぼす影響
畠中 洸岡部 繭子春日 重光
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2016 年 51 巻 1 号 p. 23-30

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抄録

長野県の高冷地に位置する野辺山地域では葉物野菜の連作障害が問題となっており,耕種的対策が課題である.本試験では連作障害回避を目的としたソルガムの緑肥利用におけるすき込み適期について,作業性,ソルガムの乾物収量,すき込み後の分解程度および後作のキャベツの栽培・収量性の観点から検討した.すき込み時の作業性は播種後46日目にすき込んだ区(46日区)に比べ,78日目にすき込んだ区(78日区)および122日目にすき込んだ区(122日区)が大きく劣り,さらに,翌年のキャベツ栽培におけるマルチ敷設時の作業性は122日区が他の試験区より劣った.ソルガムの乾物収量は78日区および122日区が同程度であったが,すき込み後の分解は122日区が他の試験区より大きく遅れた.これは122日区のソルガムの乾物率が他の試験区より有意に高かったことが要因の一つと推察された.後作のキャベツの収量では46日区が全作期において最も多収を示した.78日区は品種「信州868」を使用した作期では生育遅延が認められたものの平均結球重は出荷の基準重量に達した.しかし品種「輝吉」を使用した作期では減収した.122日区は全ての作期で基準重量に達しなかった.以上の結果から,高冷地における緑肥用ソルガムの播種後78日目および122日目のすき込みは,作業性,キャベツの収量性の両面から46日目のすき込みに劣ることが明らかとなった.

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© 2016 日本農作業学会
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