農作業研究
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結果枝水平誘引と主枝更新剪定を施した主枝高設樹形イチジク‘桝井ドーフィン’の結果枝生育と果実生産性
細見 彰洋磯部 武志三輪 由佳
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2016 年 51 巻 2 号 p. 51-58

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抄録

凍害抑制や果実の着色向上効果のあるイチジクの主枝高設形一文字整枝(主枝高設)において,欠点とされる副梢の多発や果実のわい小化を抑制するうえで,望ましい結果枝の誘引法を調査した.その結果,水平誘引の結果枝は垂下誘引に比べてやや太く,副梢が多数発生した.着果数に差はなかったが,水平誘引では垂下誘引に比べて準先端部果が早く収穫でき,準基部果の一果重,先端部果の着色,糖度が優った.一方,主枝を前年の結果枝で毎年更新する剪定法(主枝更新剪定)を施した主枝高設樹を,従来の短梢剪定の一文字整枝樹(従来樹)と比較した.その結果,結果枝の生育(全長,基部径,先端径),副梢の生育(発生数,乾物重),着果数,推定収量,収穫日に明らかな差はなかった.しかし,従来樹に比べて,主枝高設+主枝更新剪定+垂下誘引とした2009年は,先端部果の着色が劣るものの基部果の一果重が優った.さらに,主枝高設+主枝更新剪定+水平誘引とした2010年は,基部果に加えて準基部果でも一果重が従来樹に優り,糖度も高かった.また,基部果と準基部果の着色が優り,いずれの節位でも品質の劣化はなかった.以上,主枝高設イチジクの結果枝は垂下より水平誘引の方が,やや副梢が生育し易いものの,一部の部位で,より早熟で高品質な果実が得られた.さらには,水平誘引と主枝更新剪定を併用させた主枝高設栽培には,従来樹より品質が劣る問題は発生せず,むしろ大きく,かつ糖度の高い果実が得られた.

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© 2016 日本農作業学会
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