農作業研究
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国内製ポテトプランタによるバレイショの千鳥植え技術の検討
国立 卓生辻 博之澁谷 幸憲若林 勝史
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2016 年 51 巻 4 号 p. 131-142

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抄録

既存の国内製ポテトプランタで実施可能な千鳥植え技術を開発し,開発機の植付け性能を検討するとともに,改良を加えた培土用のロータリヒラーと組み合わせて千鳥植え栽培を行い,収量性を検討した.国内製ポテトプランタの千鳥植え栽培用への改良では,羽根によって種子を植付け方向の左右交互に振り分ける装置を開発して種子繰り出し装置の下に設置し,既存の植付け用溝切り器,鎮圧ローラ,覆土ディスク,およびその取付け部を改良した.種子振り分け装置は自重による半自動用と接地輪駆動の全自動用を開発した.ロータリヒラーは千鳥植え後の種子と接触しないように,爪を再配置した.施肥条間は慣行法の750 mmに対して千鳥植え栽培では660 mmとし,施肥条を挟んで150 mm幅で植付けし,植付け直後に1500 mm幅毎に施肥2条,植付け4列分をまとめて培土した.試験の結果,開発した千鳥植えポテトプランタは,半自動用,全自動を問わず,通常の作業速度3~4 km/hでの植付けが可能であった.植付け性能は全自動用では慣行法に匹敵したが,半自動用では慣行法よりも低下した.開発技術では一株あたりの塊茎数が増え,60 g以上の規格内収量は慣行法よりも高まったが,その傾向が顕著となると塊茎が小粒化し,規格内収量が低くなる場合があった.また,ロータリヒラーによる培土では爪が種子に接触して塊茎の緑化が増える課題があった.

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© 2016 日本農作業学会
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