老年歯科医学
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原著
口腔保湿剤の物性と義歯の維持力との関係
山垣 和子北川 昇佐藤 裕二岡根 百江真下 純一
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2012 年 26 巻 4 号 p. 402-411

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抄録
口腔乾燥症状を訴える義歯装着患者の問題点は,義歯の維持力が低下することである。そこで,口腔乾燥症の対症療法に用いられる口腔保湿剤の種類や物性の違いが,義歯の維持力に与える影響を明らかにすることを目的とした。被験試料は口腔保湿剤 21 種類(スプレー,リキッド,ジェルタイプ)と,対照として人工唾液 1 種類,唾液類似液 3 種類,義歯安定剤 2 種類(クリームタイプ)を用いた。曳糸性:NEVA METER ®を用いて各試料の曳糸性を求めた。粘度:ブルックフィールド型回転粘度計を用いて各試料の粘度測定を行った。維持力:上顎模型と実験用床との間に試料を介在させて義歯の中央に付与したリングを 0.5 N/sec でばねばかりで牽引し測定した。粘度はジェル(1.5×105 mPa・s)が他の試料に比べ,有意に大きな(p<0.05)値となった。維持力は,リキッド(14.4 N)はスプレー(3.6 N)よりやや大きく(p<0.05)なり,ジェル(30.1 N)ではさらに大きく(p<0.05),義歯安定剤(36.0 N)と同等であった。維持力と粘度(対数)は有意に正の相関を示した(r=0.98,p<0.01)。今回の結果より,維持力は粘度に関係があり,粘度の大きい口腔保湿剤は義歯安定剤と同等の維持力を発揮することが明らかになった。
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© 2012 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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