老年歯科医学
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原著
在宅要介護高齢者家族の介護負担と食事との関連
岡澤 仁志菊谷 武高橋 賢晃田村 文誉
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2016 年 31 巻 3 号 p. 354-362

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抄録

 人口の高齢化が進展するなか,在宅で介護を受ける高齢者が増加している。一方,身体機能などの低下した高齢者を介護するうえにおいて,主介護者の介護負担の増加は,在宅療養を継続するうえにおいて重要な負の因子となることが予想される。高齢者の日常生活動作および生命予後を改善するためには,経口摂取の継続が重要な因子である。そのためには,本人の摂食機能に合わせた食事の介助や食形態の考慮が必要となる。本研究では,在宅介護における介護負担を増大させる因子を明らかにすることを目的とした。在宅療養高齢者214名を対象として性別,年齢,認知機能,基礎疾患,在宅サービスの利用状況,栄養状態,食形態,嚥下機能,食事時間,日常生活動作に関する介助の必要性,咬合支持を調査し,主介護者の負担度との関係について検討した。介護負担度の測定にはBIC(The Burden Index of Caregivers)を用いた。各項目との関連をχ2検定およびロジスティック回帰分析で検討した。その結果,認知機能,食形態,食事時間,着替え介助,排尿介助が介護負担の独立した関連因子であった。食事に関する支援が,介護負担の改善に寄与する可能性が示された。

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© 2016 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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