日本消化器がん検診学会雑誌
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総説
スクリーニング上部消化管内視鏡検査におけるリスクマネジメント─民事裁判例の検討から─
日山 亨田中 信治茶山 一彰吉原 正治
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2007 年 45 巻 3 号 p. 317-322

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抄録

スクリーニング上部消化管内視鏡検査のリスクマネジメントを考えるうえで, 考慮しなければならないものに, 医療従事者に課せられる法的な医療水準がある。その法的な医療水準を理解するために, これまでの上部消化管内視鏡検査の偶発症(合併症)が関係した民事裁判6事例における判決文を検討した。内訳は, 前投薬薬剤や咽頭麻酔剤投与後のショックに関するものが3事例, 生検後の大量出血に関するものが2事例, 前投薬で用いた睡眠導入剤が影響した交通事故事例が1事例である。これらの裁判事例の検討により, 内視鏡検査実施側の行うべき偶発症(合併症)対策の具体的内容が抽出できた。また, 実際に訴訟に至った事例を分析して, 医療現場がどのように対応すべきであったかを検討することは, 同じ失敗を繰り返さない, 安全で, 受検者側に満足してもらえる, より良い内視鏡検査につながるものと思われた。

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© 2007 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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