日本消化器がん検診学会雑誌
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この症例に学ぶ
経年検診により発見されたスキルス胃癌
村 俊成松永 哲夫魚谷 知佳
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2007 年 45 巻 3 号 p. 356-360

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抄録

いわゆるスキルス胃癌は早期発見が困難で発育, 進展が速く予後は極めて不良とされる。胃癌検診間接X線検査でleather bottle状を呈する段階で発見される場合も多い。また, 胃内視鏡検査であっても, がんの粘膜露呈部が糜爛や微小な場合は診断困難なことがある。
磨伊ら1)は, スキルス胃癌の圧倒的多数が, 腺境界も含めた胃底腺粘膜領域内に発生したIIcのあるものが大きな癌性潰瘍を形成することなく, 粘膜下層以深へのびまん性浸潤を来し, 胃炎性変化の程度により巨大皺壁型, 粘膜萎縮型になるとしている。壁伸展障害のない時期, いわゆるpre-, latent-, linitis plastica(以下LP)の時期に, 間接X線による胃癌検診の診断目標をおくことがスキルス胃癌を減少させるために重要である。今回提示する1例目は限局性スキルス胃癌症例, 2例目は, 経年受診で発見された典型的スキルス胃癌である。撮影は, 高濃度低粘性バリウム(200w/v%, 150ml)を用い, 二重造影を中心とした新撮影法に準じている。

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© 2007 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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