2009 年 47 巻 3 号 p. 357-366
胆・膵臓の癌検診には主に超音波検査が用いられ, 二次精検法としてはMDCTが一般に用いられている。しかし近年MDCTによる被曝の増加や造影剤腎症の発生が問題となってきている。一方MRIは被曝がなく造影剤の副作用も少ない低侵襲検査であるが, 空間分解能がMDCTに劣り, MRCPのみ用いられることが多かった。そこで今回高い空間分解能が得られる3T 3D Dynamic MRIを用いて胆・膵臓疾患の評価を行い, MDCTと比較した。病変部描出能とMPR,CPRでは有意差なかったが, 造影能では有意(p<0.05)にMRIが優れていた。肝動脈区域枝の描出能は有意にCTの方が高い描出能が得られたが, 門脈区域枝では有意差は認められなかった。肝動脈区域枝描出はCTにまだ劣りさらなる撮像法等の検討が必要ではあるが, 3T MRI を用いたthin slice 3D Dynamic法は, MD-CTと同等あるいはそれ以上に胆・膵臓病変の存在, 胆管膵管の評価に優れ, 有用性が高い撮像法であると考えられた。