2010 年 48 巻 6 号 p. 655-662
大腸がん検診の受診率向上を目指し, 以下の2つの検討を行った。1)大腸がん検診未受診者全員に対して再度検診の機会を設定し, その案内を全員に個別に届けた。勧奨により, 受診率は7~10%増加し, 受診した人の60%強は過去5年間の地域検診受診歴がなかった。2)大腸がん検診対象者全員への検査キット配布を行い, 検診申込者だけに検査キット配布を行った年度と比較した。その結果, 前年度13.6%だった受診率が, 平成9年度は21.9%と8.3%増加した。過去3年以内に受診歴のない人の割合も, 平成8年度の20%から平成9年度は43%と大きく増加した。以上より, 全未受診者へ向けて個人宛の案内を送ることや, 検診の申込み方法を簡略化することにより, 検診受診率が向上する可能性が示唆された。これらの対策は, 特にこれまで検診を受診していなかった人たちに対して効果的と思われた。