日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
長崎県上五島地区における胃がん内視鏡検診~高齢者における胃がん内視鏡検診の有効性について~
松本 吏弘吉田 行雄
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2011 年 49 巻 3 号 p. 408-414

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抄録

【目的】高齢者胃がん内視鏡検診の有効性について検討した。
【方法】1984年から2004年までに長崎県上五島病院にて胃癌と診断され, 診断時に65歳以上であった116症例を対象とした。65-79歳を高齢者, 80歳以上を超高齢者と定義し, 検診群および非検診群の2群において治療内容, 病期分類を比較評価し, さらに生命予後について解析を行った。
【成績】検診群で有意にEMR症例(p=.0041), StageI症例(p<.0001)が多く, 手術不能症例が少数であった(p=.0144)。高齢者群の胃癌の5年生存率は, 検診群88.9%, 非検診群57.9%と検診群において有意に高く(p=.0002), 超高齢者群の胃癌5年生存率は, 非検診群42.7%であり, 検診群では観察期間中の胃癌死はみられなかった。
【結論】高齢者群, 超高齢者群ともに検診群において, 早期胃癌の占める割合が高く, 5年生存率も有意に高かった。

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© 2011 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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