2012 年 50 巻 1 号 p. 6-12
読影医の精度を上げるため, 異常所見指摘可能例(見逃し例)を提示することとし, 集検で発見された進行がんの各症例について発見年の3年前まで遡って各年毎の間接X線フィルムを再読影を行った。2004年から2009年までの6年間に集検で発見された進行がん症例のうち, 発見年の3年前までに, 当施設での検診を1回以上受診した44例を継続受診とし, 検討の対象とした。異常所見が指摘可能であった見逃し例を異常所見指摘可能例とした。
検討の結果, 異常所見指摘可能例(見逃し例)は44例のうち20例(45.5%)であった。断面区分では後壁, 肉眼的分類では3型において, 異常所見指摘可能例が高率であった。進行がんといえども, 間接所見といった軽微な所見で発見することも可能である。このことを十分に理解した上で慎重かつ丁寧な読影を行わなければならない。