日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
大腸がん検診における精検受診率向上の方策―新しい大腸精検法 CTコロノグラフィーにおける最適な前処置法の検討―
光島 徹藤原 正則永田 浩一馬島 健一郎岡田 実赤羽 麻奈金 潤哲和田 亮一永谷 京平山地 裕
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2012 年 50 巻 3 号 p. 351-364

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抄録

我が国の対策型大腸がん検診における精検受診率を抜本的に向上させるためには, 現在の精検法である大腸内視鏡(CS)だけでなくCTコロノグラフィー(CTC)を, 大腸がん検診の精検法として導入することを検討する必要がある。経口洗腸剤ニフレック®の固形成分に水溶性ヨード系造影剤ガストログラフィン®60mlと水を加え全量を2,000mlとした洗腸・造影液(3%ニフC)は, ニフレック液と比較して, 受診者の受容性については飲みやすいもしくは同等と回答した受診者が過半数を占めた。洗腸効果についても, ニフレック液と同等もしくは優れていた。検診CTCに必須と思われる造影効果については, 大腸全部位において200HU以上のCT値を示し, 実用上充分な造影効果が得られた。CTCは海外からの報告を見ると, 検査の施行特性および受診者の受容性はCSに勝り, 隆起性病変に対する診断精度もCSに遜色ない。すなわち, CTCをCSと並ぶ精検法として我が国の大腸がん検診に導入することによって, 診断精度を落とさずに, 精検受診率を向上できる可能性がある。

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© 2012 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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