日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
内視鏡による対策型大腸がん検診は実施可能か?─大腸がん検診における内視鏡精検の感度と精検処理能力の観点から─
松田 一夫田中 正樹
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2013 年 51 巻 4 号 p. 456-464

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抄録

便潜血検査に1回の大腸内視鏡検査を追加した検診の有効性を検証するRCTが本邦で進行中であるが, 内視鏡検診を実際に実施可能か否か福井県内における大腸がん検診での内視鏡精検の感度と精検処理能力の観点から検討した。1995年~2002年に行われた精検真陽性浸潤がんは143例, 偽陰性(追跡2年)は14例で感度は91.1%であった。がん診療連携拠点病院以外では進行した偽陰性症例を認めたが感度は91.7%で拠点病院の90.2%と差はなかった。2010年の調査では拠点以外の42機関で週に5件以上, 年間19,000件の内視鏡検査が可能であった。以上より拠点以外の内視鏡の精度はほぼ良好で, その力を結集すれば40歳以上県民の50%に対する大腸がん検診(便潜血の要精検率5.0%)の精検に要する内視鏡検査11,500件に加えて, 60(50)歳の50%に対する内視鏡検診5,700件も可能と思われた。ただし検査の標準化が不可欠と考える。

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© 2013 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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