日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
当院胃X線検診におけるH.pylori除菌治療による画像所見の変化
山崎 道夫井本 勝治坂本 力井上 明星
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2016 年 54 巻 4 号 p. 512-517

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抄録

H.pylori感染胃炎の特徴は胃粘膜, ひだの形状・分布に代表されるが, 胃がん検診のX線像において除菌前後でどの程度変化しているか検討した。2013年4月から2014年11月までの当院健診目的に受診した3000件の胃X線検査施行例のうち, 問診票にてH.pylori除菌治療の既往のある174例中除菌治療前後で当院のX線検査を施行していた17例について, 胃粘膜表面像, ひだ形状, ひだの分布に関して後ろ向きに画像所見を比較した。粘膜表面像は除菌前に平滑;1, 中間;13, 粗造;3が除菌後に平滑;3, 中間;14, ひだ形状に関して除菌前に正常;1, 中間;8, 異常;8が, 除菌後に正常;12, 中間;5となった。ひだの分布は7症例で区分領域が減少した。胃X線では除菌前後で全く変化がないのは2症例のみで, 多くの症例は何らかの画像所見に変化を認めた。胃粘膜表面像が平滑化し, ひだ形状が正常型になり分布区域が減少するのが除菌後の典型的画像所見と考える。

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© 2016 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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