日本消化器がん検診学会雑誌
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経験
胃X線検診のための読影判定区分と胃炎・萎縮診断成績
加藤 勝章千葉 隆士島田 剛延渋谷 大助
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2016 年 54 巻 4 号 p. 539-547

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抄録

当協会では平成26年度胃集検から新たに胃X線検診のための読影判定区分(カテゴリー分類)を導入し, 精検不要区分を胃炎・萎縮が無いH.pylori未感染相当胃(カテゴリー1)と慢性胃炎を含む良性疾患(カテゴリー2)に区別することにした。H.pylori感染胃炎(抗体価3U/ml未満かつPG法陰性を未感染)に対する胃X線診断の感度は93.8%, 特異度は98.5%と良好であった。平成26年度胃集検受診者182,147人では, カテゴリー1が41.7%, カテゴリー2は慢性胃炎46.6%と良性疾患6.1%, 要精検6.2%で, 受診者全体の55%がH.pylori感染胃炎を伴うと判定された。モデル地区4410人における検診後1年間の新規除菌者の増加は, 胃炎診断導入前は年間1%未満であったが, 導入後は3.8%と有意に増加した。対策型検診への胃炎診断導入に際しては, 除菌希望者への対応も含めた運用が必要と考える。

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© 2016 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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