日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
胃がんリスク診断;追加基準による偽A群対策(第二報)
曽我 忠司
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2018 年 56 巻 5 号 p. 625-638

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抄録

対策型検診の胃がんリスク診断における偽A群対策として以下の追加基準を設けた。PG-Iが35ng/ml以下, PG-IIが15ng/ml以上, H. pylori抗体価が5以上10U/ml未満, H. pylori除菌歴あり。従来基準でA判定でも追加基準のいずれかが陽性の場合は精査内視鏡を勧奨した。2013年度は従来判定A群の40.9%(4,052/9,916)が追加判定陽性となったが萎縮性胃炎を認めたのは46.4%(337/726)で偽陽性が多く改善が望まれた。2015年度から, PG-I低値とPG-II高値は60歳以上に適応する, 抗体価異常は3以上10U/ml未満に広げる, という追加基準改変を行った。その結果, 2015年度は従来判定A群の32.2%(1,218/3,782)が追加判定陽性でその69.1%(401/580)に萎縮性胃炎を認め, 不要な精検を減らすことができた。精査内視鏡後の経過観察がどの程度行われているかを2013年度精査分についてアンケート調査を行った。B, C, D群に限ると1回目は精査内視鏡の平均1.47年後に41.2%で, 2回目はその1.06年後に19.6%で内視鏡が実施されていた。ハイリスク群のサーベイランスとしてはまだまだ課題の残る結果であった。

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