日本消化器がん検診学会雑誌
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症例報告
内視鏡検診後の精査内視鏡検査で別病変が新たに診断され内視鏡的に治癒切除しえた同時性多発早期胃がんの1例
河端 秀明山口 勝利川勝 雪乃上田 悠揮岡崎 裕二人見 美鈴本井 重博榎 泰之南川 哲寛
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2019 年 57 巻 4 号 p. 588-595

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抄録

70歳代, 男性。2018年8月当院人間ドックの上部消化管内視鏡検査で広範な萎縮粘膜を背景に, 胃角部小弯後壁寄りに15mm程度のIIa病変を認め, 生検で高分化型腺癌と診断された。精検時, 胃角部前壁に20mm程度のIIc病変を認め, 生検病理診断は中分化型腺癌であった。内視鏡的治療の適応と判断し, 内視鏡的粘膜下層剥離術を施行し, 経過は良好であった。病理診断は, 1)typeIIa, 12×10mm, tubular adenocarcinoma, well differentiated(tub1), 2)typeIIc, 17×11mm, tubular adenocarcinoma, moderately differentiated(tub2>>por)であり, 両病変とも粘膜内病変で脈管侵襲を認めず, 治癒切除と判定した。同時性多発胃がんの頻度が高率であることを念頭に置き, 胃内全体を注意深く観察する必要がある。

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© 2019 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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