2020 年 58 巻 2 号 p. 83-92
本検討は胃X線検査の線量評価の基礎的検討を目的として,宮城県対がん協会で基準撮影法IIによる胃X線検査を施行された331名と診療放射線技師4名を対象に,被検者体型(BMI,体脂肪率,腹囲)・検査担当技師の経験年数それぞれと入射表面線量(ESD)を比較した。その結果,撮影におけるESDはBMIと強い正の相関を示し,透視における入射表面線量は被検者体型より技師の個人差が強く影響した。また,経験の少ない技師の透視におけるESDは経験の十分な技師より多く,さらに本検討での条件では,1検査あたりのESDは透視によるものが7~8割を占めていた。本検討は胃X線検査のESDにおける透視の割合が大きいことを確認し,線量低減には高BMI被検者に対するX線条件の見直しと透視線量の低減が有効であることを示した研究である。