日本消化器集団検診学会雑誌
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【会長講演】胃がんスクリーニングのハイリスクストラテジーに関する研究
三木 一正
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2006 年 44 巻 2 号 p. 127-139

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抄録

ペプシノゲン (PG) 法に加えて, Helicobacter (H) pylori (p) に対するImmunoglobulin (Ig) G抗体, Cytotoxin-associatedantigen (Cag) A抗体等を用いた胃がんのハイリスク集団 (高危険群) の最適なスクリーニング方法を明らかにし, 最終的には胃X線検査や胃内視鏡検査と組み合わせた経済的でかつ胃がん死亡減少をもたらすマネージメント方法を提案することを目的とし, 胃がん高危険群のスクリーニング方法に関する研究とPG法単独やPG法と胃X線検査併用胃がん検診の胃がん死亡率減少効果の評価を行い,(1) 血清PG値とHp抗体とCagA抗体の3者の測定は, 胃がん高危険群スクリーニングだけでなく, 胃がんの病理組織型 (分化・未分化型の鑑別) 診断にも有用である。(2) Hp感染のない群 (A群) を低リスク (危険) 群として胃がん検診対象から外し, 高危険群; 萎縮性胃炎合併群 (B, C, 及びD群) のみを選択的にスクリーニングする胃がん検診方法は合理的である。(3) 未分化型胃がん (PG法陰性群の多数) に対応するため, X線検査と血清PG検査を組み合わせる検診方式 (二段階同日判定法) は合理的である。(4) PG法受診による胃がん死亡率の減少効果を症例対照研究で認めた, などの結果を得た。

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