日本消化器集団検診学会雑誌
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検診を契機に診断された虫垂粘液嚢胞腺腫の1例
出口 浩之
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2006 年 44 巻 2 号 p. 151-156

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抄録

症例は87歳の女性で, 町内の住民検診の一環として行われた2回の便潜血反応でともに陽性であったため精査目的のため来院した。大腸透視ならびに大腸内視鏡検査により虫垂粘膜下腫瘍もしくは粘液嚢腫の術前診断で開腹術を行った。虫垂根部に最大径約4cmの大きさの比較的柔らかい緊満した嚢胞性病変が認められ, 虫垂粘液嚢腫の術中診断で盲腸壁の一部を含め虫垂切除術を行った。病理診断の結果は虫垂粘液嚢胞腺腫であった。
本疾患は良性疾患であるが, 自然破裂の場合はもとより術中操作における嚢胞内物質の漏出・散布は腹膜偽粘液腫の原因にもなることから, 診断がつき次第積極的に切除を行うこと, 術中散布を避けるべく慎重な手術操作を心がけることが要求される。
以上, 検診を契機に発見・治療された比較的まれな虫垂粘液嚢胞腺腫の1例を提示するとともに, 若干の考察を加えた。

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