日本消化器がん検診学会雑誌
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胃がん検診の事業精度評価I. 精検受診率向上の重要性
齋藤 貴生北川 晋二
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2006 年 44 巻 3 号 p. 259-269

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抄録

福岡県内で実施された胃がん集団検診について, 事業精度とがん発見率の関連について検討した。1987年から2003年までの17年間に, 福岡地区胃集検読影研究会に提出された資料を用い, 重み付き直線回帰モデルで統計解析を行なった。地域検診受診者 (地域集団) と職域検診受診者 (職域集団) に分けて集計した場合と, 両者を合計した合計集団の計3種類の集団区分で受診者が十分な検診機関を対象とした。受診者総数 (対象検診機関数) は合計集団1,988,444人 (18), 地域集団732,589人 (10), 職域集団1,110,865人 (16) であった。地域, 職域, 合計の各集団において, 要精検率と陽性反応的中度で統計学的に調整しても, 精検受診率とがん発見率との問に統計学的に有意の正の関連があり, 検診機関の精検受診率の向上はがん発見率の向上に大きく寄与することが推定された。精検受診率向上のための体制整備は緊急を要する重要な課題と考えられる。

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© 社団法人 日本消化器がん検診学会
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