2006 年 44 巻 6 号 p. 623-630
当協会附属健診センターの人間ドックの胃癌検診において, 極細径内視鏡を用いた経鼻的胃内視鏡検査法の有用性について検討した。2004年5月から2005年7月までの期間に, 胃癌検診を受けた28510 人 (胃X線検査22106人, 胃内視鏡検査6404人; 内経鼻的胃内視鏡検査4160人) において, 胃内視鏡検査の癌発見率 (0.17%) は胃X線検査 (0.11%) の約1.5倍であった。経鼻的胃内視鏡検査をうけた受診者396人に対して行われたアンケート調査からは, 経鼻的検査は72%が楽に受ける事ができており, 経口的検査の20%に比べて, より苦痛の少ない検査と考えられた。また, 次回検査の希望でも経鼻的胃内視鏡検査は85%と高率であった。経鼻的胃内視鏡検査の合併症としての鼻出血は4.1%と少なく, 人間ドックの胃癌検診において, 経鼻的胃内視鏡検査はより苦痛の少ない安全な内視鏡検査として有用であると考えられた。