抄録
投象の理にかなった単面投象であっても、物体と画面の配置や、視点あるいは投象方向が違うと全く原形態を感じさせない場合がある。本研究は、建物の基本形態の一つである直方体の原形態をほぼ適切に表現できる透視投象、軸測投象、および斜投象の作図条件を明示することを目的としており、対象を立方体に限定した一連の実態視実験からおおよそ次のような事柄を明らかにした。
(1) 投象法に関係なく、壁面しか見えない単面投象よりも屋根面も見える方が、左右対称となる単面投象よりもやや非対称となる方が、より立方体をイメージし易い。
(2) 透視投象の一、二、三消点法の中では、立方体に見える視点の許容範囲は三消点法が広く、二消点法の視点、とくに視・己横位置の範囲は最も狭い。
(3) 条件をみたす二、三軸測投象の主軸の交角の概略値を示すとともに、どの主軸を高さ、奥行き、幅に対応させるかで著しくイメーゾが変わることを指摘した。
(4) 斜投象では、ミリタリ投象は立方体に見えず、カバリエ投象は比率0.5前後のごく狭い範囲で立方体をイメージできる。