33 巻 (1999) 1 号 p. 55-61
デザインはドローイングを利用する問題解決行動ととらえることができる.本論では建築設計を対象として, プロトコル分析の前提とする仮説と手法を既往研究と共有しながら, これらの研究では扱われていないドローイングごとに見た設計プロセスの進行の問題を考える.すなわち, リアルな設計条件を課題として建築家に提示する実験を行い, その設計作業時に得られる同時的発話のプロトコルを, 描かれるドローイングごとに分けて記録した.そしてそれぞれのドローイングごとのプロトコルの内容からそのドローイングにおいて建築家がどのような思考を試みたのかを分析する.因子分析の結果, 設計作業中の発話情報から描かれるドローイングの設計プロセス全体における位置づけをある程度明確にすることができた.またドローイングを描き分けることによって, 建築家は単に異なる案を示すだけではなく, 推論, 実体の両方向へ螺旋状に思考を展開していることがわかった.