図学研究
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2次元から3次元へと変換する形態
―紙風船の手法による傾斜した面を持つ立方体の折り方と、タイリングからの立体―
松岡 龍介
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キーワード: 造形, 紙風船, タイリング
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2001 年 35 巻 Supplement 号 p. 35-40

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抄録

本稿は、立方体の紙風船の辺 (稜) を軸に面を回転し変形させることにより、その傾斜面の折り畳み方が、どのような変化をするのかを考察しながら、紙風船の折り畳み方の基本的な特性をより明らかにすることを研究の目的とした。立方体における傾斜面の位置の組合せから生成される形態と、それらの折り畳み方のパターンを整理し、その中から傾斜面が顕著に変化する2事例を考察の対象とした。それらは、立方体から、その面が傾斜した形状へと変化しても、傾斜面の対角線の交点には2つの直角が保持されていること。立方体をはじめ、これらの変形した紙風船は2次元へと閉じた2つのパーツで構成され、対称性を持ち、合同な形状となること。傾斜面の折り畳み方は、そのパターンに対称性を持ち、合同ないしは、相似の図形で構成される。また、傾斜面の折り畳み方のパターンを反転すると傾斜面が外側 (凸状) 、内側 (凹状) へと変化することや、台形や平行4辺形を押し出し生成した形態の傾斜面も同様の折り畳み方のパターンであることなどがわかった。また、文様の「麻の葉」や、正3角形と正方形を組合わせたタイリングから作る立体の実例を紹介し、前述の傾斜面の折り畳み方のパターンと、その応用を文様やタイリングに見立て立体を製作した。これらの中には、空間を充填する立体になる場合があることもわかった。今後、このような面を共有し連結する複数の立体が紙風船として、どのように折り畳めるのかも検討してゆきたい。

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