本研究は, 大規模建築物の災害を想定した避難行動シミュレータを開発し, シミュレータ上で建築物の地下空間における浸水災害からの避難行動実験を行い, 以下の結果を得た。 (1) 避難行動シミュレータEBSの開発を行い, ハードウェア構成の異なる3タイプのPCを用いて, EBSの性能を評価した結果, グラフィックチップにnVidia Quadro FX1400を搭載したPCは, 避難者モデル80体を表示してフレームレートが60fps以上となり, nVidia GeForce4 Ti4600を搭載したPCでは避難者モデル80体を表示してフレームレート30fps以上, Intel 82865Gを搭載したPCでは避難者モデル10体を表示してフレームレート15fps以上という結果が得られ鳥 (2) EBSはハードウェアT&L機能注2) を持たないグラフィックスチップにおいても, CPUの性能によりフレームレート15fps以上で実時間処理が可能ということが確かめられた。 (3) EBSを用いた大規模建築物地階における浸水災害からの避難行動実験を6名の被験者に対して行ったところ, 現実にその建物に行ったことがない被験者は, 近くに他の避難音モデルがいない状況で, 来たときの経路がふさがれると, その後の避難経路選択に迷う行動が見られた。