日本医療・病院管理学会誌
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研究論文
在宅系リハビリテーションが利用者のADLとQOLに及ぼす影響に関する実証研究
金川 仁子金子 さゆり
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2014 年 51 巻 1 号 p. 9-20

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抄録

在宅系リハビリテーションの提供が利用者に及ぼす影響について,訪問リハ,通所リハ,およびこれらの併用によるリハのADLとQOLの経時的変化を分析し,さらに,訪問リハと通所リハをそれぞれ単体で提供した場合と,それらを併用した場合の効果検証を行った。
FIMは,訪問リハ群,通所リハ群,併用リハ群のいずれでも6ヶ月後にセルフケア・移乗・移動面で改善され,特に,訪問と通所のリハを併用することでセルフケア・移動面でより改善がみられた。
SF-36は,いずれのリハを利用してもQOLの維持・低下予防に寄与する可能性が高い。その特徴として,通所リハ群と併用リハ群ではRP(日常役割機能・身体)の改善がみられたが,訪問リハ群では変化していなかった。また,訪問リハ群ではSF(社会生活機能)が低下していたが,改善項目は最も多く,特にBP(体の痛み)とGH(全体的健康感)の改善がみられた。
よって,QOLを高めるには,訪問リハに特化したサービス提供が有効である可能性が高く,一方,機能的自立度を高めるには,訪問リハと通所リハを併用することでより効果的になる可能性があることから,多様なプログラムを組み合わせたリハを提供できる体制を構築していくことが求められる。

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© 2014 一般社団法人 日本医療・病院管理学会
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