2019年3月期より,一定規模の医療法人は,新たに制定された医療法人会計基準の適用が義務化となった。これまでは統一された会計基準がなく,異なる開設主体間の病院会計情報の比較が難しかった。
本研究は,この義務化対象となった医療法人から自治体へ実際に届出のあった決算関係書類を調査し,新たな医療法人会計基準政策の有用性の検証とその課題の把握を目指した。
今回初めて提出が義務化された,外部監査・附属明細表・MS法人取引報告書などで,各医療法人の財務情報が透明化され,有用性が見られた。一方で,届出書類の未提出や錯誤が目立ち,作成側(医療法人)とチェック側(自治体)の体制の不備が今後の運用上の課題として残った。